話を聞くのは得意なのに、そのあとが終わらない。
2時間の面談。録音も取ったし、メモも取った。ところが事務所に戻って開いてみると、社長の昔話と、確認できた事実と、自分がその場で立てた仮説が、全部同じページに混ざっています。ここから現状分析をして、課題を整理して、SWOTに落として、事業計画の骨子まで持っていく——気づくと週末が消えている。
そして翌週、また別の会社で同じことが始まります。
このページでは、その「聞いたあと」の工程をAIに手伝わせるためのプロンプトを、場面別に5種類、そのままコピーできる形で公開します。会員登録は不要です。 ChatGPTでもClaudeでもGeminiでも、コピーして貼り付ければ今すぐ使えます。
対象は、一人、あるいは少人数で経営支援をしている方です。事務所に分析担当のスタッフがいて、資料作成を任せられる方には必要ありません。自分で聞いて、自分で整理して、自分で作って、自分で説明している方に向けて書いています。
時間が溶けているのは「分析」ではなく「整理」
一人で経営支援をしている方の1案件を分解すると、こうなります。
| 工程 | 実際にかかっていること | AIに任せられるか |
|---|---|---|
| ヒアリングの設計 | 不慣れな業種だと、何を聞けばいいか分からないまま面談に入ってしまう | ◎ 質問項目のたたき台(下の①) |
| 面談後の整理 | 録音とメモから事実だけを拾い出す。ここが一番溶ける | ◎ 分類と時系列の整理(下の②) |
| 分析(SWOT等) | フレームに当てはめる。抜けているのが怖くて何度も見直す | ◎ 抜けの洗い出しが得意(下の③) |
| 計画の骨子づくり | 補助金・銀行提出を意識した組み立て | ○ 骨組みまでは出せる(下の④) |
| 経営者への説明 | 専門用語が通じない。伝わらないと計画は動かない | ○ 言い換えを作る(下の⑤) |
| 現場を見る・信頼を得る | 工場に立って空気を感じる。社長の本音が出るまで待つ | ✕ ここは人間の仕事 |
コンサルティングの価値は、最後の行にあります。現場に立って、社長が言葉にできていないものを引き出す。ここは代わりがききません。
にもかかわらず、実際の時間は上の5行に吸われている。しかもそのうち、いちばん重い「整理」は、頭を使っているようで実は仕分け作業です。分析の質を決めているのは仕分けの正確さで、仕分けそのものは創造的な仕事ではありません。
ここをAIに渡すと、面談から報告までの往復が一気に短くなります。
そのまま使えるプロンプト(5種類)
下のボタンで、使いたい場面を選んでください。それぞれコピーボタンが付いています。
使い方は3ステップです。
- 場面を選んで、コピーボタンを押す
- ChatGPT・Claude・Geminiなど、いつも使っているAIの入力欄に貼り付ける
[ ]で囲まれた部分だけ、自分の案件の内容に書き換えて送信する
書き換えるのは [ ] の中身だけで大丈夫です。それ以外の部分は、AIに正しい手順を踏ませるための指示なので、消さずにそのまま送ってください。
クライアントの実名・実数値は、そのまま貼らないでください。 伏せ方は、プロンプトの下の「使う前に、これだけは守ってください」で説明します。
使いたい場面を選んでください(5種類)
ヒアリングの質問項目をつくる
こんなときに: 初めて支援する業種で、何を聞けばいいか分からないとき。その場で口に出せる質問文の形で出させるので、面談メモの見出しとしてそのまま使えます。
あなたは、中小企業の経営支援を数多く手がけてきた経営コンサルタントです。
これから行う初回面談のために、質問項目を設計してください。
■ 対象企業
・業種・事業内容:
[例:地方の金属部品加工業。自動車部品の下請け。従業員30名前後、創業50年ほど]
・規模の感覚:
[例:売上は数億円規模。社長と工場長、事務2名、あとは現場]
・地域:
[例:北関東の工業団地内]
■ 分かっていること
[例:
・売上が3年連続で少しずつ落ちている
・社長は60代後半。後継者は決まっていない
・紹介元の金融機関からは「設備投資の相談があるかもしれない」と聞いている
]
■ 支援のきっかけ・目的
[例:取引金融機関からの紹介。経営改善計画の作成が最終的なゴールになりそう]
■ 面談の条件
・持ち時間:[例:2時間]
・同席者:[例:社長のみ。工場長は途中から入る可能性あり]
・自分のこの業種の経験:[例:製造業は何社か見ているが、金属加工は初めて]
■ 出力条件
1. 【最初に必ず聞くこと】5〜7問
それぞれ「なぜこれを聞くのか」を1行で添えること。
2. 【この業種で、聞いておかないと後で困ること】
業種特有の商習慣・原価構造・季節性などに関わる質問。
なぜ後で困るのかも書くこと。
3. 【そのまま口に出せる質問文】
上記を、面談でそのまま話せる言い方に直したもの。
経営者が身構えない言い方にすること。
4. 【数字で押さえておくこと】
決算書や試算表のどこを見れば分かるかも添えること。
その場で聞くべきか、後で資料をもらうべきかを分けること。
5. 【初回では聞かないほうがいいこと】
関係ができる前に聞くと警戒される質問と、その理由。
■ 守ってほしいこと
・「御社の課題は何ですか」のような、抽象的で答えにくい質問を並べないこと。
・専門用語(ROA、キャッシュコンバージョンサイクル等)を質問文にそのまま使わないこと。
・持ち時間に収まる質問数にすること。多すぎる項目を出さないこと。
・この業種について確信のない一般論を、事実であるかのように書かないこと。
それでは、上記の条件に従って出力してください。
面談メモを「事実」と「意見」に分ける
こんなときに: 面談は終わったが、メモを開くと事実と印象が混ざっているとき。この工程を飛ばすと、分析が経営者の思い込みをなぞるだけになります。
あなたは、経営支援の現場で事実関係の整理を担当してきたアナリストです。
以下の【面談メモ】を、分析に使える形に整理してください。
あなたの仕事は、解釈を加えることではなく、書かれていることを正確に仕分けることです。
■ 対象企業(伏せ字のままで構いません)
[例:A社。地方の金属部品加工業。従業員30名規模、創業50年ほど]
■ 面談の目的
[例:経営改善計画作成に向けた現状把握。初回]
■ 面談メモ(文字起こし・箇条書きどちらでも可)
[ここに、メモや録音の文字起こしをそのまま貼り付けてください。
順番がバラバラでも、言い直しや雑談が混ざっていても構いません]
■ 出力条件
1. 【時系列の整理】
いつ何が起きたのかを、古い順に並べること。
年月が特定できないものは「時期不明」としてまとめること。
2. 【3つに仕分け】
次の3つに分けて、それぞれ箇条書きにすること。
・事実(資料や記録で確認できる、または複数回言及された客観的な内容)
・経営者の意見・評価(本人の感想、原因についての本人の見立て)
・こちら側の推測(メモから読み取れるが、本人が言っていないこと)
**推測は必ず3つ目の欄に置き、1つ目に混ぜないこと。**
3. 【出てきた数字の一覧】
数字・時期・割合を表にまとめ、「誰がどの文脈で言ったか」を必ず添えること。
メモに無い数字を補わないこと。
4. 【辻褄が合わない点】
前後で矛盾している発言、数字が合わない箇所を指摘すること。
責める書き方ではなく、確認事項として書くこと。
5. 【裏取りが必要なこと】
決算書・試算表・受注台帳など、どの資料のどこを見れば確認できるかを添えること。
6. 【次回聞くべきこと】
今回の内容から、次に確認すべきことを質問文の形で。
■ 守ってほしいこと
・メモに書かれていないことを補わないこと。足りない部分は「メモからは不明」と書くこと。
・経営者が実際に使った言葉と、それを言い換えた表現を混ぜないこと。
言い換える場合は、元の言葉も残すこと。
・数字を丸めたり、単位を変えたり、概算に直したりしないこと。
・この段階で解決策を提案しないこと。整理だけを行うこと。
それでは、上記の条件に従って出力してください。
SWOT分析とクロスSWOTで戦略を出す
こんなときに: 事実の整理が終わって、戦略の方向を絞りたいとき。各項目に「どの事実から導いたか」を書かせるので、一般論で埋められることがなくなります。
あなたは、中小企業の経営戦略立案を専門とする経営コンサルタント・中小企業診断士です。
以下の情報をもとに、SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、
戦略の選択肢を提示してください。
■ 対象企業(伏せ字のままで構いません)
[例:A社。地方の金属部品加工業。従業員30名規模、創業50年ほど。
国内大手自動車メーカー系列への売上依存度が約6割]
■ 整理済みの事実
[ここに、前工程で整理した「事実」の箇条書きを貼り付けてください。
推測や印象は入れず、確認できたことだけを入れると精度が上がります]
■ 経営者のビジョン・やりたいこと
[例:下請けから抜け出したい。自社製品を持ちたいと10年前から言っている。
ただし借入を増やすことには強い抵抗がある]
■ 使える資源の制約
・人:[例:現場は手一杯。新しいことをやれる人が社内にいない]
・お金:[例:手元資金は厚くない。大きな設備投資はできない]
・時間:[例:社長が65歳。5年以内に形にしたい]
■ 出力条件
1. 【SWOT分析】
強み・弱み・機会・脅威を、それぞれ箇条書きで。
**各項目に「上記のどの事実から導いたか」を必ず1行添えること。**
与えられた情報から導けないものは書かないこと。
2. 【クロスSWOT分析】
SO戦略(強み×機会)/WO戦略(弱み×機会)/
ST戦略(強み×脅威)/WT戦略(弱み×脅威)の4つ。
それぞれ、上記の「使える資源の制約」の中で実行できるかを判定し、
実行できないものは「現状では実行不可」と明記すること。
3. 【いま取るべき戦略はどれか】
4つのうち、この会社が最初に着手すべきものを1つ選び、理由を述べること。
経営者のビジョンとずれる場合は、ずれていることをはっきり書くこと。
4. 【情報が足りず判断できないこと】
分析の前提として本来必要なのに、与えられていない情報を挙げること。
5. 【この会社に固有の要素はどこか】
上記の分析のうち、「同業なら大体どこにでも当てはまること」と
「この会社にしか当てはまらないこと」を分けて示すこと。
■ 守ってほしいこと
・業界の一般論だけで欄を埋めないこと。埋まらない場合は「情報不足」と書くこと。
・市場規模・成長率・シェアなどの数字を、出典なしに書かないこと。
言及が必要な場合は「要出典・未確認」と明記すること。
・人も資金も無い会社に大型投資を勧めるなど、実行できない戦略を出さないこと。
・専門用語を使う場合は、初めて出たところに一言の言い換えを添えること。
それでは、上記の条件に従って出力してください。
事業計画・アクションプランの骨子をつくる
こんなときに: 方向は決まったが、計画書の骨組みが白紙のとき。提出先が突っ込んでくる点まで先に出させるので、書き直しが減ります。
あなたは、中小企業の経営改善計画・事業計画の策定を支援してきた経営コンサルタントです。
以下の内容をもとに、事業計画の骨子とアクションプランを作成してください。
■ 対象企業(伏せ字のままで構いません)
[例:A社。地方の金属部品加工業。従業員30名規模。売上は数億円規模で微減が続いている]
■ 選んだ戦略の方向
[例:既存の加工技術を活かし、自動車以外の分野(医療機器・半導体製造装置など)の
小ロット案件を取りにいく。設備は現有のまま、営業と見積対応の体制を作る]
■ 制約
・人:[例:新規採用は難しい。社長と工場長が動ける時間は週に数時間]
・お金:[例:大きな設備投資はしない前提。運転資金の範囲で]
・期間:[例:3年]
■ 提出先・用途
[例:取引金融機関に提出する。将来的に補助金申請にも使いたい]
■ 出力条件
1. 【フェーズ分け】
3フェーズ程度に分け、各フェーズのゴールを1行で書くこと。
期間の目安も添えること。
2. 【各フェーズのアクション】
「誰が・いつまでに・何をするか」の形で書くこと。
実行主体を曖昧にしないこと(「検討する」「推進する」で終わらせない)。
上記の制約の中で実行できる分量にすること。
3. 【必要なお金と、その手当ての選択肢】
各フェーズでかかりそうな費用の項目を挙げること。
金額は「概算の考え方」を示すにとどめ、断定した数字を作らないこと。
4. 【進んでいるかを測る指標】
3〜5個まで。実際に社内で数えられるものに限ること。
数えるのが難しい指標(ブランド認知度など)は挙げないこと。
5. 【つまずきそうなところと、その時の代替案】
各フェーズで止まりやすい箇所と、止まった場合の次の手。
6. 【提出先が必ず突っ込んでくる点】
上記の提出先の立場から見て、弱いと指摘されそうな箇所と、
それに対して事前に用意しておくべき材料。
■ 守ってほしいこと
・**補助金・助成金の名称、要件、金額、公募時期を、確定情報として書かないこと。**
該当しそうな制度の方向性を示すにとどめ、
「最新の公募要領で必ず確認すること」と明記すること。
・法令・制度の内容を断定しないこと。改正の可能性がある旨を添えること。
・社長一人しかいない会社に、部署や専任担当を前提としたアクションを書かないこと。
・売上や利益の見込み数字を、根拠なく作らないこと。
それでは、上記の条件に従って出力してください。
経営者に伝わる言葉に直す
こんなときに: 分析はできたが、社長に話しても反応が薄いとき。計画が動かない理由は、たいてい中身ではなく伝わり方です。
あなたは、経営者に対する説明の設計を得意とするコンサルタントです。
以下の内容を、対象の経営者に伝わる形に組み直してください。
■ 伝えたい内容
[ここに、分析結果や提案の要旨を貼り付けてください。
箇条書きでも、作りかけの資料の抜粋でも構いません]
■ 相手
・年代・立場:[例:67歳。創業者の二代目。現場出身で、数字の資料は苦手]
・これまでの反応:[例:横文字が出ると黙ってしまう。
「うちは特殊だから」と言うことが多い]
・過去の経験:[例:10年前にコンサルを入れて、計画書だけ作って終わった経験がある]
■ 場面
・形式:[例:工場の応接室で口頭。資料はA4で1枚だけ持っていく]
・持ち時間:[例:30分。ただし現場から呼ばれて中断する可能性がある]
■ 出力条件
1. 【一言でいうと】
15秒で言い切る版。ここで伝わらなければ後が続かない前提で作ること。
2. 【3分で話す版】
そのまま口に出せる話し言葉で。
「現状 → だから何が起きるか → どうするか」の順にすること。
3. 【想定される反論・懸念と、その答え方】
上記の「これまでの反応」を踏まえて、出そうな言葉を具体的に予想すること。
答え方は、反論を封じるのではなく、相手の言い分を受けてから続ける形にすること。
4. 【言い換え表】
使わないほうがいい言葉と、その言い換えを表にすること。
(例:「シナジー」→「組み合わせると得になる」)
5. 【この場で決めてもらうこと】
1〜3個に絞ること。多いと何も決まらないため。
決まらなかった場合に、次に何をするかも書くこと。
■ 守ってほしいこと
・相手を下に見た言い方、教える口調にしないこと。
・「早速」「直ちに」「速やかに」など、対応の速さを強調する副詞を使わないこと。
・危機感をあおって動かそうとしないこと。事実を並べて、判断は相手に委ねること。
・カタカナのビジネス用語を並べないこと。
・「必ず成果が出る」「確実に改善する」といった、結果を約束する表現を使わないこと。
それでは、上記の条件に従って出力してください。
精度を上げる、書き換えのコツ
| 書き換える場所 | コツ |
|---|---|
| 整理済みの事実(③) | ここに推測や印象を混ぜると、分析全体がその推測の上に建ってしまいます。②で仕分けたあとの「事実」欄だけを貼るのが、いちばん効きます |
| 使える資源の制約(③④) | 書かないと、人も金もある会社向けの立派な戦略が返ってきます。「社長が動ける時間は週に数時間」まで具体的に書くと、出てくる案の現実味が変わります |
| これまでの反応(⑤) | 「横文字が出ると黙る」「うちは特殊だからと言う」のような一言が、いちばん効きます。人物像ではなく、実際にあった反応をそのまま書いてください |
| 業種の書き方 | 「製造業」ではなく「自動車部品の精密金属加工。従業員30名、創業50年」まで書くと、その業界の商習慣を踏まえた答えになります |
そして、一度で満足しないことです。
- 「SO戦略は、この会社の資金力では無理なので、現実的な規模に直して」
- 「この説明は横文字が多いので、現場出身の60代の方に話す前提で書き直して」
- 「④の指標が多すぎるので、社長が毎月数えられるものだけに絞って」
やりとりを2〜3回重ねるだけで、そのまま使える水準になります。
使う前に、これだけは守ってください
1. クライアントの情報は、伏せてから貼る
無料版のAIサービスでは、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。支援先の社名・所在地・取引先名・決算の実数値・未発表の計画は、そのまま貼らないでください。
そして、これは単なるマナーの話ではありません。中小企業診断士の場合、根拠は省令にあります。
正当な理由がなく、中小企業診断士の業務上取り扱ったことに関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者であって、その行為をしたと認められる日から三年を経過しないもの ——中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則 第5条第1項第7号(登録の拒否)
この第5条の各号に該当するに至ったときは、第6条により登録が取り消されます。 資格を持たずにコンサルティングをしている方も、契約上の守秘義務を負っているのが通常です。立場は変わりません。
とはいえ、伏せると分析の質が落ちるわけではありません。AIが見ているのは固有名詞ではなく、構造だからです。次の表のように置き換えてください。
| 情報の種類 | そのままの状態 | 貼るときの形 |
|---|---|---|
| 企業名・人名 | 株式会社〇〇製作所、代表取締役 山田太郎 | A社、現社長(二代目) |
| 決算の数字 | 当期純利益 3,456万円、従業員128名 | 黒字(数千万円規模)、従業員 約130名 |
| 取引先 | 主要販売先である〇〇自動車への売上比率65% | 国内大手自動車メーカーへの売上依存度 約6割 |
| 独自技術・特許 | 特許第〇〇号の特殊ナノコーティング技術 | 独自の表面処理技術(特許取得済) |
| 連絡先 | 電話番号、メールアドレス | (そもそも入力しない) |
右の列でも、SWOT分析も課題の抽出も問題なく機能します。「6割」という比率が分かれば、依存度というリスク構造はAIに伝わるからです。実名と実数は、そこでは働いていません。
2. 補助金・法令・市場データは、AIの答えを信じない
これは支援の現場で、いちばん危ないところです。
AIは、補助金の名前も、要件も、上限額も、それらしく答えます。 そして、その内容は古いことがあります。制度は毎年変わりますし、AIが学習した時点の情報がそのまま出てくるためです。
「AIが〇〇補助金の対象だと言っていた」を根拠に支援先へ説明してしまうと、申請の直前になって対象外だと分かるという事故が起きます。責任を負うのは、AIではなく説明した側です。
④のプロンプトに「補助金の要件を確定情報として書かないこと」という指示を入れてあるのは、このためです。それでもAIは書こうとすることがあります。次の3つは、必ず一次情報で確認してください。
- 補助金・助成金 → 最新の公募要領の原文
- 法令・制度 → 官公庁のサイト(e-Gov、各省庁)
- 市場規模・業界統計 → 出典元の統計そのもの
AIに向いているのは、確認すべき論点を洗い出すことであって、答えを確定させることではありません。「この計画で確認が必要な制度を挙げて」までは頼れます。「その制度の要件を教えて」からは、自分で見にいく場面です。
3. 出てきた分析を、そのまま報告書にしない
③のクロスSWOTは、驚くほどきれいに埋まります。だからこそ危険です。
きれいに埋まったものは、きれいなだけで、その会社を見ていないことがあります。工場に立ったときの空気、社長が言いよどんだ場面、若手が社長のいないところで漏らした一言——これらは、どのプロンプトにも入っていません。
③に「この会社に固有の要素はどこか」という出力項目を入れたのは、ここを見分けるためです。同業ならどこにでも当てはまる話と、この会社にしか当てはまらない話を分けて出させる。 前者が9割なら、その分析はまだ使えません。
AIが出すのは、精度の高いたたき台です。最後の1割を足せるのは、現場に行った人だけです。
プロンプトの限界と、その次の一歩
ここまでの5つを使えば、面談から報告までの往復は目に見えて短くなります。ただ、しばらく使っていると、必ず同じ壁にぶつかります。
毎回、同じ情報を打ち直していることに気づくはずです。
支援先が変わるたびに、業種と規模と制約を書き直す。自分が20年かけて作ってきたヒアリングの型を、毎回一から説明し直す。前回いい答えが出たプロンプトを探して、また貼る。整理した事実を、次の分析にコピーして持っていく。
そして、いちばん引っかかるのはここです。自分の型が、道具になっていない。
あなたには、あなたの見立ての順番があるはずです。この業種ならまずここを見る、この数字がこうなっていたらこれを疑う、この話が出たらこれを確認する。それは経験で積み上げてきた資産なのに、毎回チャット欄に打ち直しているうちは、資産として働きません。
これは、あなたの実力の問題ではありません。ブラウザのチャット画面という道具の限界です。
ここから先に進む方法は、実はひとつだけです。
自分専用の道具を、自分で作ってしまうこと。
たとえば、こういうものです。
- ヒアリングシートに入力すると、自分の見立ての順番で課題の一覧とSWOTのたたき台が出てくる、自分だけの画面
- 支援先ごとの面談記録・宿題・進捗を並べて見られる、自分用の管理画面
- 決算の数字を入れると、前年比と業界平均との差のコメント下書きが出る仕組み
- 支援先に置いてくる、その会社専用の小さなツール
「それってプログラマーの話でしょう」と思われたかもしれません。数年前まではそうでした。
いまは、日本語で「こういうものを作りたい」と伝えるだけで、AIがコードを書いて動くものにしてくれます。Claude Code というツールを使えば、プログラムを書けなくても、自分の仕事に合わせた道具を自分で作れます。
そして——経営コンサルタントや診断士の方は、実はかなり有利です。
理由ははっきりしています。AIに指示を出す作業は、要件定義そのものだからです。
やりたいことを分解する。手順に落とす。抜けを潰す。前提条件を言葉にする。相手が誤解しない書き方をする。それは、あなたが支援先に対して毎日やっていることです。プログラミング未経験の方が最初につまずくのは、まさにこの「言語化」の部分で、そこをあなたはすでに越えています。
だから、結果が出るのが早いです。 そして同じ型を、次の支援先にも展開できます。
- 「診断して報告する人」から「その会社で回る仕組みを置いてくる人」に変わると、単価と継続性が変わります
- 補助金申請の支援だけでなく、そのあとの実装まで受けられるようになります
- IT導入を「勧める側」から「一緒に作る側」に回れます
- 自分の型を組み込んだ道具は、他の誰にも真似ができません
クロラボは、プログラミング未経験の人が、Claude Code で自分のオリジナルアプリを作れるようになるためのスクールです。
「非エンジニア向け」と書いているのは、それくらい初心者の方を想定しているという意味です。すでにコードを書いて仕事をしている方には物足りない内容です。逆に、「パソコンは仕事で使うけれど、プログラムは書いたことがない」という方には、ちょうどいい段差になっているはずです。
会社の業務改善に使っている方もいますが、いまは「個人が自分の武器を持つ」ことをベースにしています。
プロンプトをコピーして使う段階は、入り口としてはとても良いです。ただ、そこで止まってしまうと、来年も同じ情報を打ち直し続けることになります。
自分の型を、道具にしてみませんか。