面談自体は1時間で終わったのに、そのメモを読み解いて理由書の初稿を書くのに、そこから2時間も3時間もかかる。

時系列は前後している。手続きに関係のない愚痴も混じっている。肝心の日付が「たしか去年の春ごろ」で止まっている。それを、法令の要件に合う公式な文章へ組み直す——この作業が、一日のどこかを必ず持っていきます。

しかも、疲れた頭で書いた書面ほど、後から補正がかかります。差し戻しの連絡が来て、また同じ案件を開き直す。その間、ほかの案件は止まっています。

このページでは、その「文章にする」ところをAIに任せるためのプロンプトを、場面別に5種類、そのままコピーできる形で公開します。会員登録は不要です。 ChatGPTでもClaudeでもGeminiでも、コピーして貼り付ければ今すぐ使えます。

士業特有の事情——守秘義務ハルシネーション(もっともらしい嘘)——への対処も、プロンプトの中に組み込んであります。

なぜ「書類の初稿づくり」がAIに向いているのか

士業の仕事をならべてみると、AIに任せていい部分と、絶対に任せてはいけない部分がはっきり分かれます。

工程 中身 AIに任せてよいか
要件の判断・法的な結論 どの条文を適用するか、通る道筋をどう作るか × 任せない。 ここが専門家の価値そのもの
ヒアリング 依頼者から事実を引き出す △ 聞くことの整理はできる(下の②③)
事実の整理・文章化 メモを時系列に直し、公式な文体で書く ◎ 最も効果が出る。判断ではなく作業だから
必要書類の洗い出し 添付書類・要件の抜け漏れチェック ○ たたき台としては有効(下の③)
依頼者への説明 専門用語をかみくだいて伝える ○ 得意分野(下の⑤)
最終確認・押印 内容の真偽と責任 × 任せない。 職印を押すのは人間

ポイントは、AIに「判断」をさせないことです。

このページのプロンプトは、すべて「あなたが判断した内容を、正しい形の文章にする」ための道具として設計してあります。だから「情報源をヒアリングメモに限定する」「推測したら印を付けさせる」「AI自身に見直しをさせる」という制約を必ず入れています。

初稿づくりが数分で終われば、空いた時間は要件整理と最終確認に回せます。執筆から、推敲と検証へ。 これが一番大きな変化です。

そのまま使えるプロンプト(5種類)

下のボタンで、使いたい場面を選んでください。それぞれコピーボタンが付いています。

使い方は3ステップです。

  1. 場面を選んで、コピーボタンを押す
  2. ChatGPT・Claude・Geminiなど、いつも使っているAIの入力欄に貼り付ける
  3. [ ] で囲まれた部分だけ、自分の案件の内容に書き換えて送信する

書き換えるのは [ ] の中身だけで大丈夫です。それ以外は、AIに正しい手順を踏ませ、嘘を書かせないための制約なので、消さずにそのまま送ってください。

そして、貼り付ける前に必ず固有名詞を伏せ字にしてください。 やり方はこのページの後半で説明します。

使いたい場面を選んでください(5種類)

理由書・顛末書をつくる

こんなときに: 役員変更登記の懈怠に伴う顛末書、許認可の理由書、在留資格の経緯説明書など。ヒアリングメモから公式文書の初稿を起こすときの本命です。AI自身に見直しをさせて、追加で聞くべきことまで挙げさせる構成にしてあります。

あなたは、緻密な論理構築と法令順守を最優先するプロの行政書士・司法書士です。

以下の【ヒアリングメモ】をもとに、【作成する書類】に合致する公式文書の初稿を作成してください。
後述する【制約条件】と【出力形式】を厳格に守ってください。

■ 作成する書類

・提出先:
 [例:〇〇法務局 / 〇〇出入国在留管理局 / 〇〇都道府県知事]

・書類名:
 [例:役員変更登記の懈怠に関する顛末書]

・目的:
 [例:登記が遅延した正当な理由を説明し、今後の再発防止策を示すこと]

■ 適用される要件・前提知識(こちらで判断した内容を書いてください)

・[例:会社法第915条に基づく変更登記の期限は2週間]
・[例:代表者の長期不在という事情を、情状として説明する方針]

■ ヒアリングメモ

※実名・住所・マイナンバー等は「A社」「B氏」「X市」等に置き換えてから貼り付けてください

・[例:2023年5月に代表取締役のA氏が急病で入院した]
・[例:本来6月の株主総会で役員改選が必要だったが、開催できなかった]
・[例:その後、経理担当も退職してしまい、手続きが完全に漏れていた]
・[例:2024年2月にようやく新体制が整い、急いで手続きをしようとしている]

■ 制約条件(必ず守ること)

1. 【情報源の限定】
  事実の根拠は、上記【ヒアリングメモ】と【適用される要件】だけとすること。
  記載のない事実・日付・固有名詞・法令を、推測で補ったり作り出したりしないこと。

2. 【推測には印を付ける】
  文章の流れをつなぐためにやむを得ず推測を含める場合は、
  その箇所の直後に必ず「(※要事実確認)」と書くこと。

3. 【文体】
  提出先の行政機関・法務局が読み慣れた、客観的で公式な文体にすること。
  感情的な表現・言い訳がましい表現は使わず、事実と理由を淡々と述べること。

4. 【不確実なことを「問題なし」と扱わない】
  メモからは要件を満たすか確信が持てない部分は、
  勝手に大丈夫と解釈せず、後述のアラートに論点として残すこと。

■ 思考の手順(この順で考えてから書くこと)

・ステップ1:ヒアリングメモから、いつ・誰が・何をしたかを時系列に整理する
・ステップ2:提出先の目的に照らし、主張すべき「正当化の理由」または「経緯の核心」を1つ特定する
・ステップ3:その事実に基づいて、公式文書として構成する

■ 出力形式(この3つを順に出すこと)

1. 時系列の整理
  ヒアリングメモから抽出した事実を、日付順の箇条書きで。

2. 【書類案】〇〇(書類名)
  提出用の文書の初稿。宛名・日付・作成者・タイトル・本文・結びまで整えること。

3. 自己検証と、専門家へのアラート
  あなた自身が「事実確認の担当者」になったつもりで、以下を厳しく点検すること。
  ・根拠が不明確な主張や、メモにない情報が混ざっていないか
  ・確約できないことを断定していないか
  ・追加で依頼者に確認すべきことは何か(日付の特定、裏付け資料の有無など)

それでは、上記の条件に従って出力してください。

ヒアリングメモを事実の時系列に整理する

こんなときに: 面談直後。まだ書面を書く段階ではないが、何が事実で、何が足りないのかを先に確定させたいとき。ここを済ませておくと、①の精度が跳ね上がります。

あなたは、事実関係の整理を専門とする行政書士・司法書士の補助者です。

以下の【面談メモ】は、依頼者との面談中に走り書きしたもので、
順番も表現もバラバラです。これを、書面作成に使える形に整理してください。

■ 案件の種類

[例:相続による不動産の名義変更 / 建設業許可の新規申請 / 役員変更登記]

■ 面談メモ

※実名・住所・マイナンバー等は「A社」「B氏」「X市」等に置き換えてから貼り付けてください

[ここに、走り書きのメモをそのまま貼り付けてください。
 文法が崩れていても、単語の羅列でも構いません]

■ 制約条件

1. メモに書かれていない事実を、推測で補わないこと。
2. 日付や期間が曖昧な記述(「去年の春ごろ」「しばらくして」など)は、
  勝手に確定させず、曖昧なまま「要特定」として扱うこと。
3. 依頼者の感想・評価・愚痴と、客観的な事実を必ず分けること。

■ 出力形式

1. 【確定している事実の時系列】
  日付 / 出来事 / メモ上の根拠 の表にすること。

2. 【曖昧な記述の一覧】
  メモ上の表現 / なぜ曖昧か / 特定するために必要なもの(資料名など)の表にすること。

3. 【事実ではなく、依頼者の主観だと思われる記述】
  書面にそのまま書くと危ないものを抜き出すこと。

4. 【時系列の矛盾・不自然な点】
  例:「Aの後にB」と言っているが、日付の順序が逆になっている 等。

5. 【次の面談で聞くべきこと】
  そのまま口に出せる質問文で、優先度の高い順に。
  依頼者が答えやすいよう、専門用語を避けた聞き方にすること。

それでは、上記の条件に従って出力してください。

必要書類と要件のチェックリストをつくる

こんなときに: 案件に着手する前。添付書類の抜け漏れは、そのまま補正・差し戻しになります。たたき台を先に出させて、こちらが削る使い方が安全です。

あなたは、許認可申請・登記申請の実務に詳しい行政書士・司法書士です。

以下の【案件】について、着手前に確認すべき要件と、
そろえるべき書類のチェックリストのたたき台を作成してください。

■ 案件

・手続きの種類:
 [例:建設業許可(知事許可・一般・新規)]

・提出先:
 [例:〇〇都道府県 建設業課]

・依頼者の状況:
 [例:法人。設立5年目。経営業務の管理責任者になる予定の代表者は、
   前職の個人事業主時代を含めると経験7年だが、証明資料が手元にあるか不明]

・こちらが特に不安に思っている点:
 [例:経営業務の管理責任者の経験年数の証明方法]

■ 制約条件(重要)

1. あなたの回答は「たたき台」であり、最終的な要件の判断は人間の専門家が行う。
  そのつもりで、抜けよりも「多めに挙げる」方針で出力すること。

2. 自治体によってローカルルールが異なる項目には、必ず「※自治体差あり」と明記すること。
  具体的な自治体名を挙げて断定しないこと。

3. 法令の条番号・様式番号を、確信がないまま書かないこと。
  不確かな場合は「(要確認)」と明記すること。

4. 期限・有効期限のある書類(登記事項証明書、納税証明書など)は、
  取得のタイミングに注意が必要な旨を添えること。

■ 出力形式

1. 【要件チェックリスト】
  要件 / 何をもって満たすとされるか / 今回の懸念 / 確認方法 の表。

2. 【必要書類チェックリスト】
  書類名 / 誰が用意するか(事務所 / 依頼者 / 役所で取得) /
  取得先 / 有効期限の有無 / 備考 の表。

3. 【つまずきやすい点】
  この手続きで補正・差し戻しになりやすい典型的な原因を、
  実務上の頻度が高い順に。

4. 【依頼者にお願いする資料の一覧】
  そのまま依頼者に送れる形の箇条書きにすること。
  専門用語には一言の言い換えを添えること。

それでは、上記の条件に従って出力してください。

役所への照会文をつくる

こんなときに: 解釈がグレーで、窓口に確認したいとき。答える側が答えやすい聞き方にするだけで、返答の質と速さが変わります。電話の前のメモとしても使えます。

あなたは、行政機関への照会文の作成に慣れた行政書士・司法書士です。

以下の【確認したいこと】について、担当窓口が短時間で回答できる
簡潔な照会文を作成してください。

■ 照会先

[例:〇〇市 建築指導課 / 〇〇法務局 登記相談]

■ 確認したいこと

[例:一団の土地に既存建物がある状態で、用途変更を伴わない増築を行う場合に、
   〇〇の届出が必要になるかどうか]

■ 前提となる事実

※実名・住所は「A社」「X市」等に置き換えてから貼り付けてください

・[例:敷地は市街化調整区域内]
・[例:既存建物は平成10年築、用途は倉庫]
・[例:増築部分は約40平方メートル]

■ こちらの見解(あれば)

[例:〇〇に該当しないため不要と考えているが、確証がない]

■ 制約条件

1. 照会文の中で、法令の条番号を確信がないまま書かないこと。
  触れる必要がある場合は「(条番号は要確認)」と明記すること。
2. 相手に判断を丸投げする書き方をしないこと。
  こちらの見解と、その根拠を先に示したうえで、確認をお願いする形にすること。
3. 一度の照会で聞くことは、3点までに絞ること。
4. 回答者が「はい / いいえ」または短い選択で答えられる形にすること。

■ 出力形式

1. 【照会文(書面・メール用)】
  そのまま送れる完成文にすること。

2. 【電話で聞く場合の要約】
  30秒で読み上げられる長さの話し言葉にすること。

3. 【想定される回答と、その場合の次の一手】
  回答パターンごとに、こちらが次に何をすべきかを表にすること。

4. 【この照会で確認しきれないこと】
  別途、確認や資料が必要になる論点。

それでは、上記の条件に従って出力してください。

依頼者への説明メールをつくる

こんなときに: 手続きの進捗や、必要な書類のお願いを伝えるとき。「専門家の説明が分からない」は、クレームと失注の一番の原因です。かみくだく作業こそAIの得意分野です。

あなたは、依頼者への説明が分かりやすいと評判の行政書士・司法書士です。

以下の【伝えたいこと】を、専門知識のない依頼者が読んで
「自分は次に何をすればいいか」がはっきり分かるメール文にしてください。

■ 相手

・[例:60代のご夫婦。相続手続きは初めて。パソコンは苦手で、書類は郵送を希望]

■ 伝えたいこと(専門用語のままで構いません)

[例:
・遺産分割協議書に相続人全員の実印と印鑑証明書が必要
・印鑑証明書は発行から3か月以内のもの
・法定相続情報一覧図を取得したので、金融機関ごとの戸籍提出は不要になった
・次は金融機関の解約手続きに進む
]

■ 制約条件

1. 専門用語は、初めて出てきたところで一言の言い換えを添えること。
  用語をすべて避ける必要はない(依頼者が役所で同じ言葉に出会うため)。
2. 相手にしてほしいことは、メールの前半にまとめること。
  経緯や背景は、その後に書くこと。
3. 期限があるものは、日付を明示すること。
4. 不安をあおる書き方をしないこと。
  「〜しないと大変なことになります」ではなく「〜までにいただければ大丈夫です」の形にすること。
5. 「早速」「直ちに」など、対応の速さを強調する副詞は使わないこと。
6. 二重敬語を使わないこと。

■ 出力形式

1. 【メール件名】3案

2. 【メール本文】
  そのまま送れる完成文。
  相手にしてほしいことは、箇条書きのチェックリスト形式にすること。

3. 【同封する「お願いする書類の一覧」】
  紙で渡せる形。書類名 / どこで取れるか / 注意点 の表。

4. 【この説明で誤解されそうな点】
  問い合わせが来そうな箇所と、先回りして書き足すなら何を書くか。

それでは、上記の条件に従って出力してください。

精度を上げる、書き換えのコツ

同じプロンプトでも、[ ] の中身の解像度で出力の質はまったく変わります。

書き換える場所 コツ
提出先・書類名 ここは具体的に書くほど効きます。「理由書」とだけ書くより「建設業許可の経営業務の管理責任者の要件を満たすための実務経験証明に関する理由書」と書くほうが、AIが選ぶ文体と論点が的確になります
適用される要件・前提知識 ここが専門家の腕の見せどころです。 AIの一般知識に頼らせず、こちらが判断した適用要件・方針を書き込むことで、出力の土台を固定できます。自治体特有の運用や、最近の審査傾向を1行足すだけでも変わります
ヒアリングメモ 文法が崩れていても、単語の羅列でも構いません。むしろ、きれいに整えてから貼ると、そこで抜け落ちた情報は二度と戻ってきません。走り書きのまま貼るほうが良いです
こちらの見解 ④の照会文では、こちらの見解を書くかどうかで返答の質が変わります。空欄でも動きますが、埋めたほうが実務的な文になります

そして、一度で満足しないことです。

  • 「この部分は根拠が弱いので、もっと客観的な事実に絞って書き直して」
  • 「情状を求めるトーンが強すぎるので、事実の報告として抑えて」
  • 「この一文は断定になっているので、確約しない表現に直して」

2〜3回やりとりするだけで、推敲の起点として十分な水準になります。

実際にこう出てきます

①「理由書・顛末書をつくる」に、例のとおり(役員変更登記の懈怠)を入れると、こう返ってきます。

1. 時系列の整理

  • 2023年5月:A社の代表取締役B氏が急病により入院。
  • 2023年6月:本来であれば定時株主総会を開催し役員改選を行うべき時期であったが、代表者不在により開催不能。
  • 時期不詳(その後):経理担当者が退職。社内の管理体制が機能不全に陥る。
  • 2024年2月:新体制が整い、登記手続きの遅延が発覚。

2. 【書類案】役員変更登記等に関する顛末書

顛末書

この度、弊社の役員変更登記の手続きに関しまして、法定の期間を徒過して申請する事態となりましたことについて、深くお詫び申し上げます。本件手続が遅延いたしました経緯および今後の再発防止策につきまして、以下の通りご報告申し上げます。

1. 遅延した経緯 弊社は、本来であれば令和〇年6月に定時株主総会を開催し、役員の改選に関する決議および登記手続きを行う予定でございました。しかしながら、その直前である同年5月に、弊社の代表取締役であるBが急病により緊急入院を余儀なくされました。(以下略)

3. 自己検証と、専門家へのアラート

  • 根拠の確認:提供されたヒアリングメモの事実関係のみで構成しており、事実の捏造はありません。
  • 法的リスク:代表者の急病と担当者の退職という事情が、過料を免除する「正当な理由」として認められるかは裁判所の判断に委ねられます。情状酌量を求めるトーンに留め、免責を確約する断定は避けています。
  • 【要確認】追加でヒアリングすべきこと
    1. 診断書等の客観的資料の有無:B氏の入院期間を証明する資料が提出可能か確認してください。
    2. 経理担当者の退職時期:メモでは「その後」と曖昧です。具体的な月が分かれば、管理体制が崩れた時期をより説得力をもって説明できます。
    3. 定時株主総会の本来の開催時期:定款上の決算期と一致しているか、最終確認をお願いします。

注目していただきたいのは 3番目のブロックです。AIが自分で「経理担当者の退職時期が曖昧だ」と気づき、依頼者に追加で聞くべきことを挙げています。文章が速く書けること以上に、確認すべき論点が漏れなく可視化されることが実務上の価値です。

使う前に、これだけは守ってください

士業がAIを使ううえで、絶対に外せないことが2つあります。

1. 守秘義務 — 固有名詞は必ず伏せ字にする

これは努力目標ではなく、法律上の義務です。

  • 行政書士法 第12条:「行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなった後も、また同様とする」
  • 司法書士法 第24条:「司法書士又は司法書士であつた者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない」

無料版のAIサービスでは、入力した内容がAIの学習に使われる場合があります。依頼者の情報をそのまま貼ることは、この義務との関係で重大なリスクを伴います。

対処はシンプルで、貼る前に置き換えるだけです。

対象 そのまま貼る(NG) 置き換えてから貼る(OK)
人物名・企業名 株式会社佐藤工務店の代表取締役、佐藤一郎 A社の代表取締役であるB氏
地名・施設名 東京都新宿区の〇〇大学病院に入院 X市のY病院に入院
番号・機微な情報 マイナンバー、口座番号、詳細な病名 [マイナンバー][指定口座][特定の疾病]

出力された文章をWordに貼ってから、専門家自身の手で実名に戻す。この流れを固定してしまえば、迷う場面はなくなります。AIが見ているのは固有名詞ではなく文脈なので、伏せ字にしても出力の質はほとんど落ちません。

2. ハルシネーション — AIは平気で条文を作る

生成AIは「事実かどうか」より「文章として自然かどうか」を優先します。存在しない判例や、実在しない条番号を、まったく自然な文章の中に混ぜ込んできます。

このページのプロンプトには、それを抑えるために3つの仕掛けを入れてあります。

  1. 情報源を限定する — 根拠をヒアリングメモの中だけに閉じ込め、外部の一般知識を混ぜさせない
  2. 段階的に考えさせる — いきなり結論を書かせず、時系列の整理から順に踏ませる
  3. AI自身に点検させる — 出した答えを「事実確認の担当者」の立場で見直させ、推測の混入を自己申告させる

それでも、確認の責任がなくなるわけではありません。 出てきた文章は初稿であって、成果物ではありません。一次資料(定款・診断書・登記事項証明書)との突き合わせは、これまでどおり人間の仕事です。

書面に職印を押し、依頼者と行政機関に対して責任を負うのは、あくまで専門家本人です。

プロンプトの限界と、その次の一歩

ここまでの5つを使えば、初稿づくりの時間はかなり削れます。ただ、しばらく使っていると、必ず同じ壁にぶつかります。

毎回、同じ作業を繰り返していることに気づくはずです。

案件が変わるたびに、固有名詞を手で伏せ字に置き換える。出てきた文章を、また手で実名に戻す。事務所の定型フォーマットを毎回貼り直す。前に「この言い回しでうまく通った」という経験があるのに、AIはそれを覚えていない。繁忙期には、この「マスキングと貼り直し」自体が新しいボトルネックになります。

しかも、疲れているときほど、伏せ字にし忘れたまま貼ってしまう危険があります。

これは、あなたのプロンプトが下手だからではありません。ブラウザのチャット画面という道具の限界です。

ここから先に進む方法は、実はひとつだけです。

自分専用の道具を、自分で作ってしまうこと。

たとえば、こういうものです。

  • 氏名や住所を貼り付けると、自動で伏せ字に置き換えてくれる小さなツール(戻すのも自動)
  • 案件の種類を選ぶだけで、自分の事務所のフォーマットに沿った初稿が出てくる仕組み
  • 過去に受理された書面の言い回しを、自分の手元だけに貯めておける置き場

「それってプログラミングができる人の話でしょう」と思われたかもしれません。数年前まではそうでした。

いまは、日本語で「こういうものを作りたい」と伝えるだけで、AIがコードを書いて動くものにしてくれます。Claude Code というツールを使えば、プログラミングの経験がなくても、自分の仕事に合わせた道具を自分で作れます。

そして、ここが大事なところなのですが——作れるようになると、仕事のほうが変わります。

  • 事務所の中でしか使えなかった工夫が、そのまま形のある道具になります
  • 「この手続きに特化したツールを作りました」と言える事務所は、選ばれ方が変わります
  • 補助者を増やさずに、受けられる件数を増やせます
  • 何より、伏せ字と貼り直しに使っていた時間が、自分の手で消えていきます

クロラボは、プログラミング未経験の人が、Claude Code で自分のオリジナルアプリを作れるようになるためのスクールです。エンジニア向けではありません。むしろ、士業・事務・デザイン・接客といった、これまでコードに触ってこなかった人が中心です。

事務所や会社の業務改善に使っている方もいますが、いまは「個人が自分の武器を持つ」ことをベースにしています。

プロンプトをコピーして使う段階は、入り口としてはとても良いです。ただ、そこで止まってしまうと、来年も同じように伏せ字を手で打ち続けることになります。

自分の道具を、自分で作れる側に回ってみませんか。